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2007年10月26日 (金)

プロ意識

今回のアンテナ修理の件で、サラリーマン時代あった
障害のことを思い出した。

1990年代のことだが、ある大手カード会社に
ルーターを納入した。
今ルーターって当たり前の通信機器だが当時はまだ出回ってなく、
こちらとしても国内初(!)のファーストユーザーであった。
(納入としてはトヨタ自動車と同時期だったが、火を入れたのは
 このお客が初だった)
全部で20数台でHUB、トランシーバー等入れて数億だった
のを覚えている。

苦労して無事稼動と相成ったのだが、ある時障害が起きた。
端末から、IBM系のホストとの通信ができなくなったのだ。
原因はホストがリセットをかけてしまったので、当社ルーターが
誤って疎通をシャットダウンしてしまったことによった。
(実際はスパニングツリーが働いて他系でのリートが確保された)
単純なことだが、短い時間とはいえ、800台以上!にも及ぶ全端末
がホストと通信できなくなったので、影響は大きかった。

しかしなぜホストがリセットしてしまったのか。
調べると、ルーターがまずリブートをかけてしまっていた
ことが分かった。でそのリブートによってホストがリセット
してしまった、ということだ。
なぜルーターはリブートをかけてしまったのか。
その原因を知って驚いた。

この世の全ての半導体というもの、ビット反転、という
事象を必ず起しうるんだそうだ。
ビット反転というのは簡単に言うと、通常使用状況に於いて
半導体がエラーを起しちゃうっていうこと。
でもそれがシビアでデリケートでナイーブでナーバスでファニーなルータ
にとっちゃ大問題で、場合によってはリブートを引き起こしちゃう
ということだった。

この解明に至るまでがとても苦労したのだが、実はその後
もっと苦労した。
当社技術陣、

「これは障害ではない」

というからだ。
私は技術のお偉さんに怒鳴られた。

ビット反転は正当に起こりうるもので、不具合ではない、
だからリブートが起こったことでホストがシャットダウンしたのは
ホストのせいで、ルーターが悪いわけではない
なぜお客に謝るんだ。これは製品の不具合じゃあないんだ!

と。

しかし、実際にお客に迷惑はかけている。
お客の情報を客観性をもって時間をかけて説明するが、
技術陣納得しない。
しばらくすると当開発部長が状況報告の
レポートを作ってきた。これを持ってお客に説明する。報告書は
自ら作ったし、説明も自分が行う、ということだった。

お客のシステム部キーマンがこれまた怖い人だった。
見切りをつけられて出入り禁止になった業者も何社かあったくらいだ。
慎重に慎重を期してお客に説明に向かったが
開発部長は毅然とした態度だった。私に怒鳴った手前上、
お客に頭を下げるわけにいかないのだろう。

これはビット反転から起因したもので製品不良ではありません。
全ての半導体は起こりえるもので、リブートを回避するルーターは
在り得ない、と資料をもって詳しく説明し始めた。
やはり、というか、予想通りの展開が待っていた。
説明、終わる前にお客、怒り始めた。
怒った怒った。怒鳴りまくった。

 これを不良と言わず、何を不良というのだ!
 実際にこちらに迷惑がかかっているではないか!
 至急対策をとれ!
 さもなくば、これらの機械、全部持って帰ってくれ!

ほうほうの態で帰路についた。

納めたルーターに向けたアンバンドリング化されたソフト
(ビット反転を受けてもリブートしない)が作られ、そのお客に
無償で提供されたのは言うまでもない。あの障害の数ヵ月後のことだった。

あのお客に怒られなければあの開発部長、腰をあげなかった
ろうか。あのアンバンドリングソフトは発売されなかったろうか。
プロ意識が足りないよな。よくまあ部長になれたもんだ。
障害だと思ってなくてももちろんその意識無く製品を作っていたとしても
実際迷惑かかってるんだから、それは立派な障害品だ。
サラリーマン時代にあった印象に残る事件の一つだった。
  
  
「プロ意識がないんじゃないの」

今回車のアンテナの件でそう妻に言われたんですよね。
ショップの対応。
こちらははじめ、ロッドアンテナが折れたので映らなくなった、
アンテナを替えて欲しい、と頼んだ。
だからアンテナを替えればそれで仕事が終わり、ということじゃあだめだよ。
プロじゃあない、客商売は成り立たないね。

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